私たちは人の話をあまり聞かないということを紹介しましたが、では実際には、ほとんどの人はどのように人の話を聞いているのでしょうか。
誰にでも思い当たることがあると思いますが、上の空で聞いていたり、聞いているふりをしたり、表面的な言葉だけ聞いたりすることがあるのではないでしょうか。
また、自分の興味のあることだけを選択的に聞くことや、あくまで自分を中心に、自己中心的に聞くこともあるでしょう。
コヴィー博士は、こうした聞き方を「自叙伝的な聞き方」と呼んでいます。自分の経験を必要以上に会話に反映させてしまうからです。この「自叙伝的な聞き方」には、大きく分けて4つの聞き方があります。
先輩社員に話を聞いてほしくて相談したとしましょう。こんな答えをもらったことはありませんか?
「訪問件数が少なすぎるんだよ。だいたいそんなことで弱音を吐いてどうする。それに、その内向的な性格もよくない。それじゃダメだな。根性だよ。根性!」
といった具合に、相手のいったことに対し、すぐに自分勝手な評価を下してしまいます。相手は相談にきたわけですから、これでは会話が続きません。
自分の経験や勘に基づいて相手にアドバイスをすることを指します。求めてもいないアドバイスは、一方通行のコミュニケーションの最たる例かもしれません。
「君が今後ビジネス・パーソンとしてやっていく中で、その手の疑問は日常茶飯事だぞ。俺もそういった疑問はたくさんあった。でもな、わからなくても、まずは仕事をこなすことだよ。それが一番なんだ。理由がわからなくても、とにかくレポートを作成するべきだと思うぞ!」
状況を理解していないのに正しく助言することはできません。
「君が考えていることはこういうことだろう?」と、相手の意図を先読みし、頭から決めつけてしまう反応の仕方です。やられたほうは気持ちのいいものではありません。
「ははーん、営業を巻き込んで、根回しする必要があるんだな。それでキーマンの俺のところに来たわけか」
相手の問題を自分なりに解釈し、勝手に説明しようとする反応です。
「なるほど。英語を駆使してかっこいいプレゼンテーションをしようってわけだ。俺も憧れるよ。でも気をつけろよ。それだけで勝負しようとするとひどい目に遭うぞ。英語が喋れるからカッコつけてるとか、嫌味や陰口がやかましくなるからなあ」
いかがですか? 少し極端かもしれませんが、私たちのコミュニケーションには、このようなパターンが実に多く存在します。
次に紹介する会話の例は、どの反応だと思いますか?
山川さんは若手のビジネス・パーソンです。
ある日、商談に行った際に、プレゼンテーションにおいて大きな失敗をしてしまいました。不備のあるデータを完成版のファイルに上書きし、完成版を失ってしまったのです。そのためきちんと説明することができず、残念ながら成約には至りませんでした。あなたは、仕事が終わった後に話を聞いてもらおうと同僚に相談に行きます。
次の反応は、「評価・探り・助言・解釈」のうちどれだと思われますか?
典型的な「評価」の答え方です。あなたなら、このような相談を受けた場合、どのような返事をしますか?
基礎編 | 1 2 3 4 5 6 7 8 |
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第一の習慣 | 9 10 11 12 |
第二の習慣 | 13 14 15 |
第三の習慣 | 16 17 18 19 20 |
第四の習慣 | 21 22 23 24 25 26 |
第五の習慣 | 27 28 29 30 31 |
第六の習慣 | 32 33 34 |
第七の習慣 | 35 36 37 |
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