2023.06.16
生産性を上げるために必要なスキル「ワーク・マネジメント」
「マネジメント」というと、人とのコミュニケーションや部下のマネジメント、チーム・ビルディングのことを思い浮かべがちですが、人やチームを管理する前に必要なことがあります。 それが、仕事そのものを管理すること、「ワーク・マネジメント」です。仕事を管理できない人が、人やチームを管理できるはずがないからです。
「マネジメント」というと、人とのコミュニケーションや部下のマネジメント、チーム・ビルディングのことを思い浮かべがちですが、人やチームを管理する前に必要なことがあります。
それが、仕事そのものを管理すること、「ワーク・マネジメント」です。仕事を管理できない人が、人やチームを管理できるはずがないからです。
仕事の内容やプロセスが複雑化し、関与者も増えてくると、単調なスケジュール管理やタスク管理だけでは不十分となり、ワーク・マネジメントに高いスキルが求められることも多くなりました。
仕事の管理といえば、タスク管理やスケジュール管理、意思決定者へのプレゼンテーション、承認といったそれぞれの活動と考える人も多いかもしれませんが、仕事を全体的にとらえ、成功へと導くことが必要です。そういう意味では、プロジェクト・マネジメントに近い概念かもしれません。
ワーク・マネジメントの内容
効果的なワーク・マネジメントを行うには、次のようなコンピテンシーが必要となるでしょう。
■個人、チームのバリューチェーンの把握
- まず、自分自身、または率いるチームが優れた結果を出すためには、どのようなバリューチェーンが必要なのかを明らかにする必要があります。どのような仕事の仕方が、個人、チームとして最大の効果を出すことができるかということです。つまり、個人、またはチームの優れたスキルや能力を明らかにし、仕事のプロセスを決めるわけです。
- ここでいうバリューチェーンとは、ワーク・スタイルの意味も含まれます。一人でコツコツと積み上げる仕事のやり方が得意な人と、コミュニケーションによってさまざまなアイデアをまとめていくのが得意な人など、人によって得意な方法はさまざまです。
■ワーク・プロセス設計
- 自分たちの得意な方法が決まっているからといって、好きに仕事をしていいわけではありません。仕事によって、踏まなければならないステップや段階があります。仕事が複雑化するほど、ワーク・マネジメントにおいて、どのようなプロセスをたどれば仕事がうまくいくのかを設計することが重要になります。どの段階で、どのようなニーズに対応する活動が必要なのか、綿密に設計する必要があります。
- また、仕事が大きくなれば、ステークホルダーも増えます。ある一人の反対によって仕事がうまくいかなくなることは頻繁にあることです。プロセスごとの成果物の内容も重要ですが、「誰に」「誰が」という要素も重要です。
■タスク・プランニング
- プロジェクト・マネジメントでも、必要なタスクをリストアップし、活動内容を設計していきますが、仕事の成功のためには、「何を」「どのように」というタスクを設定するスキルが必須です。タスクをリストアップし、活動できたとしても仕事が成功しないケースは、大半が、成功につながるやるべきタスクを設定できていかなったことが大半です。
- 個人やチームに合ったバリューチェーン、適切なプロセスに基づき、どのようなタスクが必要か、知恵を絞ります。この段階がワーク・マネジメントにとって、もっとも重要だと言えるかもしれません。
- チームでひとつの仕事に取り組む場合、誰がどの作業をするのか分担することも、タスク・プランニングのスキルのひとつです。うまく分担できないと、スケジュール、コスト、クオリティ、すべてに影響を及ぼします。
- また、タスク・マネジメントは一度設定したら終わりではありません。仕事を取り巻く環境は刻々と変化し、やるべきことも変化します。常に、自分が今やるべき仕事は何かを明確にし、行動すること。これがワーク・マネジメントに求められます。
■実行力
- 最後は実行する力です。どれだけ素晴らしい計画を立てても、実行できなければ、意味はありません。スケジュールを調整し、優先順位をつけ、他人に委譲できるものは委譲し、自分でやると決めたタスクをやりきる力が必要です。マネージャーであれば、メンバーのボトルネックを解消し、実行できる道筋をつけることも必要です。
ワーク・マネジメントの効果
適切なワーク・マネジメントを行うことができれば、仕事の生産性は大きく向上するでしょう。仕事の性質を抑えながら得意な手法がとれるわけですから、生産性が上がらないはずがありません。
さらに、仕事の成功はもちろん、将来に向けた資産にもなりえます。まず、「勝ちパターンをつくることができる」ことがあげられます。ワーク・マネジメントを行なうことで、仕事の内容によって、どのようなときに、誰が何をすればよいのかが明確になります。いわゆる「勝ちパターン」が明らかになるわけです。勝ちパターンを持つことができれば、個人、チームともに実力をつけたことになり、次の仕事にも自信を持って取り組むことができるでしょう。
また、どのような仕事を委託されたとしても、「最も効率的な仕事のプロセスを設計できる」ことがあげられます。まったく同じ仕事というものは存在しませんが、「プロセスを設計するスキル」を持っているわけですから、どのような仕事がきても怖くありません。