ミッション・ステートメントを作成することで、ファミリー・プランの土台をつくることができました。これをもとに、ファミリー・プランのマネジメントを具体的に行っていくことになります。今回はSTEP2として家族年表をつくってみましょう。
家族年表とは、家族全員の長期的な計画を記入し、一覧にしておくものです。
横長の用紙がファミリー・プランナーの付録としてついていますから、ぜひ活用してください。
記入する内容については、特に決められたものはありません。一枚で20~30年分のプランを一覧にするので、あまり細かく書き込むのではなく、大きなライフイベントにぐっとフォーカスして記入するだけでも、十分に意味があります。あまり神経質にならず、おおざっぱな見当でとりあえず入れておくくらいでもかまいません。
20~30年スパンの目標や計画を設定し、常に意識していくことで、目の前の小さなことには慌てなくなります。自分が進んでいる方向を俯瞰できることで、安心感や確信、また覚悟といったものを持つことにもつながります。
大きなライフイベントといえば、漠然とプランニングできるものだけでも、自身の就職、結婚、出産、マイホームやマイカーの取得、子どもの進学、就職、結婚などがあります。
中でも、マイホームの購入時期と子どもの入学時期が重なったり、車の買い換えに住宅ローンがのしかかったり。経済的なボリュームゾーンは重要ですから、こうした時期がどれくらい続くか、一目でわかるようにマーキングをしておくとよいでしょう。
はっきりと可視化しておくことで、その時期に備えて、どういうペースで貯蓄をしていくか、あるいはどのように借り入れのスケジュールを経てるか、長期的な視野で考えることができるのも、年表ならではのメリットです。
他にも、独立して新たなチャレンジに資金が必要な時期など、想定されるライフイベントが重なる時期があれば、それを調節するためにこの家族年表を活用することもできます。
優先順位を決めてライフイベントの時期をずらす方法もあれば、コストを見直したり、収入やリソースを増やす方法を探して計画どおり実現する方法を見つけるなど、さまざまなソリューションを考えやすくなります。
20~30年スパンで人生を考えていくことで、子育てや仕事などで忙しい盛りの人でも、今後、今とはまったく異なるライフサイクルに突入した人生についても、イメージを掴みやすくなるでしょう。自分自身が年をとるように、子どもも成長しますし、パートナーや親も年を重ねていきます。現在、同居している家族だけでなく、親をはじめ別居している家族の欄をつくっておけば、家族全体の未来地図がより見えやすくなります。いずれ、両親の介護や生活費などコストが増える時期が訪れるにしても、物心両面において、ある程度の備えができているに越したことはありません。
最初は各自が1枚ずつ自分の年表を作成し、それを互いに見せ合ったうえで、家族全体の年表として一つにまとめていく方法をとると、さまざまな課題がよりクリアになります。それぞれが考える夢やタイミングというものがあり、必ずしも他の家族の心づもりと一致しないことも十分に考えられます。二段階で家族年表を作成することで、思わぬ発見があり、日ごろ口ではなかなか明らかにできない気持ちを共有することにもつながります。
特に、子どもの進学・進路の問題、リタイア後の夫婦の生活拠点の問題など、年表作成がきっかけで、お互いのビジョンの食い違いに気づくケースは多く、早めに話し合い、ギャップを埋めることで、いっそう絆を深めていくことも可能になるはずです。
長期スパンになればなるほど、予定には変更がつきものです。念願のマイホームや高級車の購入も、気に入ったものがあれば購入時期が早まるでしょうし、なかなか見つからず、結局は買わずに借りる道を選ぶ、ということもあるかもしれません。大きな海外旅行なども、体調や仕事の問題で家族のスケジュールの調整がつかないなど、先送りになる要素はいくらでもあります。
初めから、「予定が変われば何度でも書き直すもの」というスタンスでいたほうが、気楽に取り組むことができるでしょう。
家族年表としてまとめることができたら、日常の中で目にしやすいキッチンや居間などに貼っておくとよいでしょう。
コピーをして、各自の手帳や家計簿の中に綴じておくのもいい方法です。プランの目的や重要性、貯蓄の必要性や大まかな人生の流れを意識しながら毎日を過ごすことは、ただ漠然と目の前の積み木を片づけていく生き方とは明らかに違います。
各自、気づいたことがあれば、まずはメモや付箋に残しておき、後から皆で話し合って、変更点を反映するとよいでしょう。
家族全員の計画を一覧にすることで、家族全員がそれぞれの目標を共有することになり、協力関係が保ちやすくなります。
一人ひとりの目標の達成には、家族の協力が不可欠な場合もあるかもしれません。たとえば、20年後に何か大きなことをしたいと考えているのであれば、そのときの他の家族の状況や計画をよく理解しておくことも必要でしょう。家族年表を通して互いにサポートし合い、家族としての夢をより実現に近づけていくことが大切です。
下の記入例を参考にしながら、あなたの家族の家族年表を作成してみましょう。