最初に、家族が大切にしたい価値観や目指すべきことを明らかにし、ミッション・ステートメントという文書の形にまとめます。
家族というチームを構成している一人ひとりはあくまで個別の人間ですから、「自分自身と家族」の目的やビジョンを明確に描くことがとても大切になります。
目的地がわかれば、現在いる場所もわかります。そこで初めて正しい方向へ進んでいくことができるようになります。目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことが重要です。
また、仕事や勉強に追われていると進むべき方向が見えなくなり、成功への梯子をせっせと登っているつもりでも、一番上に到達して初めて、その梯子が間違った場所にかけられていたことに気づくこともあります。そうならないように、「終わりを思い描くことから始める」という第2の習慣をしっかり実践していきましょう。
どんな家族でありたいか、あるいは家族としてどのような未来を目指すのか。長い間、ともに暮らしてきた家族ですから、漠然と共有できている思いはあるかもしれませんが、それを実際に形あるものとして創造し直し、改めて共有していくことに意味があります。
こうして目的地を家族で共有していれば、それぞれが個別に意思決定を行う際にも、そこに影響力が発揮され、たとえ離れていても家族の絆をより強固なものにしていくことも可能になります。家族のミッション・ステートメントは、バラバラになりがちな家族の文化を一つの方向に合わせる土台となっていくべきものなのです。
すべての家族には、その家族独自の課題があります。
家族の一人ひとりが将来のより良い状況や姿を想像しながら、家族の目的地(ビジョン)を思い描くことができれば、その過程でどんなことが起きたとしても、やがては皆で一丸となり、家族の目的地に向かうことができます。そのためにも、目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことが重要なのです。
ミッション・ステートメントを作成する過程では、人間に与えられた4つの能力(自覚、想像、良心、意志)をフルに使って、家族としての考えを深く掘り下げていきます。こうして共有された思いは、家族に「私たち」という新たな単位を根づかせ、家族としての目標を立てていくときの頼もしいコンパスとなるはずです。このコンパスに照らして、家族の年間目標→月間目標→週間目標を設定していくことで、家族としての目標実現に向かって具体的に進むことが可能になります。仮に、針路を外れることがあったとしても、このコンパスに従ってフィードバックを行い、そのつど修正することで、より現状に沿ったタイム・マネジメントを行えるようになっていきます。
家族全員から意見や考えを出してもらうようにします。
尊敬をもって相手の話を聴き、自分の理解を示すために、相手の話を自分の言葉で言い直し、皆のアイデアを書き留めます。その後、書き留めたアイデアをブラッシュアップし、優先順位をつけます。
出されたさまざまなアイデアを家族の誰かがまとめて、ミッション・ステートメントとして一つの統合した表現にします。家族全員がそれを見て、よく考え、実施し、話し合い、紙に書きます。皆が合意するまで繰り返すことで、一人ひとりの記憶に刻まれるミッション・ステートメントが出来上がります。大切なのは家族全員が参加することです。
ミッション・ステートメントは単なるリストではなく、家庭生活の憲法です。日常生活で活用しなければ絵に描いた餅になってしまいます。家族全員が毎日目にすることができる食卓や居間、玄関などに貼って常に確認することをお勧めします。