6日目:毎日を計画する

毎日の行動は誰のもの? 毎日の選択が未来を作る

あなたは毎日の生活の中で「やりたくもないのに、やらされている」と感じることはありませんか? 例えば、「上司から頼まれた急ぎの資料作成」「得意先の接待」「顧客のクレーム処理」などなど。

「毎日を変えたくても、これほど他人に左右される毎日では、自分のしたいことなどとてもできない」とあきらめの境地にいませんか? しかし、他の人からの指示であっても、それを行うことを決め、実際に行動しているのは、他の誰でもなく「あなた自身」です。他人に左右されていると思っている行動のほとんども、実は自分で選択できるものであり、実際にあなたが自ら選びとっていることなのです。 

例えば、上司に頼まれた資料の作成は、どうしてもあなたがやらなければいけないことでしたか? 上司から頼まれたそのときに「現在、来週の○○商事向けのプレゼン資料を作成しています。お願いされた仕事を優先すると、このプレゼン資料の作成を止めなければならず、プロジェクトメンバーの進捗に影響を及ぼしますが、それでもこちらの資料作成の方が優先順位の高いものですか?」と一言聞くことはできなかったのでしょうか?

他人から要求されたことであっても、それを行うかどうかは、あなたが選択をしているはずなのです。その選択をきちんとできないのは、自分の中で何が大切なのかを理解していないからに他なりません。

毎日の行動は、自らの選択の連続なのです。思い通りの結果にならないのは、自分自身で大切なことを理解していないことと、「選択」する自由意志を自ら摘み取ってしまっているからかもしれません。

あなたはすでに理解しているはずです。今自分にとって何が必要なのかを。

すべては、やらされているのではなく、自分で選択しているという事実。これからの毎日の行動では、あなたがこれまで発見してきた自分の理想に向けた価値観と目標をしっかりと意識して、そして、それを行動へとつなげましょう。

すべての選択は、あなたから始まります。

「選択」という言葉は、重要なキーワードです。私たちは自分の未来のために、今何をするか「選択」できるのですから。

朝の15分が大きな効果・効率を生む

これまでの一日の生活の中で、あなたは計画のためにどれくらいの時間を費やしてきたでしょうか? 

今日のタスクを書き出したり、優先順位を考えたりする時間を持っていますか? 

計画のために毎日時間をとっている人は意外なほど少ないのではないでしょうか。忙しいのだから、そんな時間があれば仕事を片付ける時間に使いたいという方もいらっしゃるでしょう。しかし、計画にきちんと時間を使えば、逆に自由に使える時間は増えていくのです。

計画には、毎日それほど多くの時間を要するわけではありません。これまでの演習の中で価値観を発見し、具体的な目標を定め、実質的な行動ステップを計画してきたあなたにとっては、それらを日々の計画に落とし込むためには、1日わずか15分程度の時間で十分です。1日の100分の1の時間を一日の計画に集中して使うだけで、そのメリットは多岐に渡ります。生産性が高まる、本当に大切なことに時間が割ける、取り組む課題やその期限が明確になる、アクシデントに備えることができる、1日の終わりに明らかな達成感を味わえるなど、その効果は計り知れません。

まず、朝計画するときには、今週の役割と現在の目標を確認しましょう。毎日の計画をたてるときに、忙しい毎日を送る私たちは、どうしても昨日のクレームやトラブルなどの続きや今抱えている仕事のことで頭がいっぱいになってしまいがちです。

1日の計画をたてるときには、必ず振り返ってほしいことがあります。まず、一週間の計画をたてるときに考えた「今週の役割」です。様々な役割のバランスをとるために、今日できることは何か、今日やっておいたほうがいいことは何かを考えてみてください。この役割のタスクは緊急性を持っていませんので、ついつい先送りになりがちなタスクです。1週間の役割バランスの中で、「兄に電話する」「恩師に手紙を書く」など今日できることを計画してみてください。

もうひとつは目標の進捗です。価値観に基づき目標を設定し、ステップをこまかく設定していますので、確認するだけになるかもしれません。もし、計画に対し遅れていたり、やるべきタスクを忘れていたりしたら、今日できることはないかを考えてみましょう。

目標達成までの道のりは、些細なことで止まってしまうことが少なくありません。あるいは、昨日不可能だったことでも今日は可能になっているかもしれません。毎日の計画時に、目標の進捗を振り返りましょう。

タスクリストに書き出す

役割をチェックし、目標の進捗を確認したら、一旦、やることをすべて書き出してみましょう。忙しいと感じているときほど、管理の時間はなくなっていますので、落ち着いて、今日やるべき(やりたい)と思っていることを書き出してみましょう。

すべて書き出すことによって、まず安心感が生まれます。自分が行うべきことが見えるからです。不安は具体化することで消える部分もあります。思ったより少ないと感じるかもしれませんし、逆に多いと感じるかもしれません。どんな些細なことでもかまわないので、書き出してみてください。

すべてやる時間が今日確保できるのであれば、重要なことからやっていけばいいのですが、通常、1日では到底処理できそうにもない量の仕事が待っているでしょう。そのときは、やらなくていいことを思い切って削除します。自分が些細なことだと思っていても、相手はそう思っていないかもしれないので、人間関係が絡むタスクは、相手に確認するか、慎重に考えましょう。この削除するという作業でまたすっきり感、安心感が生まれます。気になっていたことをしなくて済むこともあるのですから、そして、今日やらなくていいタスクを違う日に移動します。今日はやらないが、00日までにやろうと決めたならば、その日のタスクリストに記入してください。

忙しくてどうにもならないと感じたら、この方法を試してみてください。思わぬ発見があるかもしれません。

予定を考え現実的なリストを作る

今日のタスクリストとして計画するときには、以前から入っていたスケジュールやアポイントがあります。当然そういった事前に決まっていたスケジュールと調整して、現実的なタスクリストにする必要があります。もちろん明日以降の約束のための事前準備などもスケジュール化されてなければなりません。

先ほど、すべてのタスクを書き出すことをやってみましたが、現実には、今日のスケジュールを見て、移動時間や準備時間、面談時間などを考慮した上で、現実的なタスクリストにしていくことになります。

もし時間的制約からその日に全てを行うことが無理ならば、明日以降のタスクリストに記入していきます。

仕事の時間として、最大5時間分しか時間をとることができなければ、緊急時の対応を考慮し、4時間程度のタスクを計画することになります。その4時間の中でできるタスクを選び、計画します。

このとき時間はできるだけ連続してとるようにしましょう。仕事をできる限り中断することなく行うことで、生産性をあげることができます。

それでもタスクがあふれる場合は、期限を延期してもかまわないもの、自分でどうしても行いたいもの、委任できるものに整理し、再計画してください。

優先順位をつける

アクシデントやトラブルはつきものですから、すべてが計画通りにいくはずはありません。むしろ、計画をしていてもすべてが実施・達成できることの方が少ないかもしれません。

また、些細なことや小さなことは達成しながらも、時間が足りずに、大切なことが達成できなかったということがないように、リストアップしたタスクに優先順位をつけて、タスクの重要度を明らかにしましょう。

まず、タスクを次の基準でA、B、Cの3つに分類します。

  • Aは「最重要(その日にしなければならない)」
  • Bは「重要(その日にすべきである)」
  • Cは「延期可能(できればいい)」

Aは非常に重要で「最重要」。何が何でも達成しなければならないものです(must)。他に何もできなくても、今日中にAのタスクは達成しなければなりません。次のBは「重要」。きょう達成すべき課題です。(should)。Aのタスクが全部終わってまだ時間がある時にBのタスクに取り組みます。そして最後のCは比較的重要でなく「延期可能」。達成できたらいいと思われるタスクです。(could)。AもBも終わって、それでもまだ時間がある時にCの項目に取り組みます。

次に、今度は各項目を見て、ABCそれぞれのグループの中での優先順位を数字で表します。Aグループのなかではどれが一番大切かを考え、最も大切なものにA1と書きます。次に大切なものがA2ということになり、A3、A4と続きます。そしてB、Cグループも同様に順序をつけていきます。

そして、実行する時には、常に優先順位の最も高いタスクにエネルギーを集中し、優先度の高いタスクから実行していくことが大切です。

そうすれば、仮にすべてのタスクを達成できなかったとしても、重要なことは実行されており、あなたの成果が大きく揺らぐことはありません。