5日目:一週間を計画する

一週間コンパスを活用する
~役割ごとに目標を定め1週間のバランスをとる

フランクリン・プランナーには、「一週間コンパス」という優れたツールがあります。これは、1週間で行う役割ごとの重要な事柄をあらかじめ記入しておき、しおりのように手帳に挟んで確認しながら、日々の計画に役立てるものです。重要なことを確実にスケジュールに反映するためのお役立ちツールなのです。 

まず、自分の役割を「一週間コンパス」に記入し、その週の目標を設定していきます。

なぜ、役割を記入する必要があるのでしょうか。1週間の中で仕事やプライベート、家族など、自分の生活全体のバランスをとることが、充実した生活には欠かすことができないからです。何か一つに注力しすぎて、他の何かを失うことがないようにスケジューリングをする際には、バランスの取れた行動を目指し「役割」を確認していく必要があります。

今週重要だと思われる「役割」を「一週間コンパス」の役割欄に記入し、目標を設定します

例えば、「役割欄」に「夫」と記入したならば、「妻と食事にいく」などの今週の目標を記入します。あまりおおげさに考えずに、今週できることを記入していきます。パートナーの仕事がとても忙しい状況であれば、「保育園のお迎えをする」が今週「夫」としての目標になるかもしれません。

同じように、その週で特に重要だと思う「役割」をいくつか挙げ、目標を設定していきましょう。

こうやって「役割」から今週の予定を考えていくことで、バランスのとれた行動をとることができるようになります。

自分を高める「刃を研ぐ」活動 

一週間コンパスには、「刃を研ぐ」欄があり、自分自身を高めるための行動を計画することができます。私たちは、肉体面でも自分の体を酷使するばかりで、定期的な「刃を研ぐ」活動を忘れてしまいがちです。また、本を読んだり、人脈を広げたりする活動なしに、昨日と違う成果を出すことなどできません。これを「7つの習慣」では、「P(Performance)/PC(Performance Capability)バランス」と読んでいます。フランクリン・プランナーでは、大きな成果を出すための「刃を研ぐ」活動を「一週間コンパス」の中に組み込んでいます。

「一週間コンパス」を見てください。役割欄の上には「刃を研ぐ」活動として「肉体」「社会/情緒」「知性」「精神」の4つのカテゴリーがあります。これはあなた自身が成果を生み出すために必要な4つの分野というわけです。

では、実際にその時に必要とされる自分を磨く活動を次の例を参考に計画してみましょう。

「肉体」=1日泳ぎにいく

「社会/情緒」=プロジェクトチームスタッフと懇親会を行う

「知性」=先月のベストセラーを3冊読む

「精神」=人にグチを言わないようにする

このように「刃を研ぐ」活動を記入することで、1週間のスケジュールに「P/PCバランス」を調整する視点を導き出せるようになります。

大きな石を先に入れる~すべてに対応するのは、誠実ではない

一週間コンパスで設定した役割ごとの目標、家族との約束、すでにあるアポイント、上司の指示、仕事の目標達成のためのタスク、あなたにはすでに重要なことがあります。

スケジューリングで重要なのは、こういった重要なことを先にスケジューリングしてしまうことです。些細なアポイントや重要でもないミーティングの合間に重要なことをやろうと思ってもなかなか実行することはできません。

こまごましたやるべきことを1日単位でスケジューリングした後に、どうにか時間をやりくりして重要な活動をスケジューリングしようとしても、なかなかうまくいきません。それよりも、週単位という少し大きな視野から、重要なことをまず先にスケジューリングしてしまうのです。そうすることで、あなたにとって重要なことを実行することができるようになります。

責任感が強く、まじめなタイプの人ほど、上司や同僚からの指示、お客様からの依頼など、すべてのことがらに応えようとする傾向があります。

また、仕事ばかりでなく、家族や友人・知人からの頼まれると断れずに、後で困ってしまう人も少なからずいることでしょう。

すべてに応えられる十分な時間もなくて、結果的に誰かに委任するしかなくなってしまえば、委任した人に迷惑がかかることに責任を強く感じるなど、精神にも悪い影響を与えてしまいます。

つまり、すべてのことを受け入れてしまうのは、一見誠実に見えても、長期的にみれば不誠実になってしまいます。

言い方を変えれば、何をするかということは、「何をしないか」ということでもあります。あなたが価値観に基づいた大きな目標を持つことができたなら、些細な、あるいは重要ではないことに対して「No」ということができるのです。

また、最初の段階から誰かに委任をしようと思いながらできなかったとしても、あまり悲観することはありません。最初の段階で、「できないこと」がわかるのは、ロスではないからです。何もリソースを使ってないのですから。依頼したほうも、その時点で「不可能」が判明すれば、他の方法をあたることもできますし、「やらない」という選択肢を持つことも可能だからです。

あなたも明日からすべてを受け入れることはやめましょう。