1日目:価値観の大切さを知る

生産性のピラミッド

弊社フランクリン・プランナー・ジャパンの「プライオリティ」という時間管理の研修で使っているモデルを紹介しましょう。

それは生産性のピラミッドというものです。

下の図のように、一番下の価値観から一番上にある日々の計画までが積み重なっています。

つまり、私たちの行動を支えているものは、個人個人の持つ価値観であり、価値観がすべての土台となります。

このように私たちの行動はすべて価値観からもたらされるものであり、また計画・行動が価値観と一致したときに、私たちは心から充足感を得ることができ、真の納得感を得ることができるのです。

価値観が定まっていなければ、日々の行動がその都度変わったり、周囲に影響されやすくなったり、ストレスを感じたり、満足感を得ることは難しくなります。

例えば、あなたは商品開発部門にいたとして、あなたの価値観が「顧客貢献」を第一に掲げていたとすれば、会社の短期的な利益のみを追い求めるような商品開発の意見に対し、あなたは、自分の心に正直に堂々と反対意見を唱えることができるでしょう。

また、会社からの命令で、肉体的にも精神的にも現在の仕事よりも厳しい仕事を与えられたとしても、あなたの価値観が「何事にも挑戦し、自分の可能性を広げる」であれば、喜んでチャレンジしてみることになるでしょう。

これからの人生を考えることにおいて最も重要なことは、自分自身の価値観を明確にすることから始まるのです。

生産性のピラミッド

価値観に基づかない目標、目標のない計画、計画のない毎日の行動、の悪循環に陥っていませんか?

あなたは毎日、毎日、忙しく過ごしていると思います。その行動はきちんと計画されていますか?

本来、あなたが大切にしたい価値観と行動が合致して初めて、充実した生き方を実感できるものなのです。しかし、人は年月を重ねるほど「指示されこと」や「しかたなく、やらなくてはいけないこと」が増え、なかなか価値観に基づいて行動することができなくなってしまいます。また、持っている価値観が自分の中で矛盾してしまい、目標を達成するどころか、自分がどのような生き方を望んでいるかさえも見失ってしまうこともあります。

友人と久しぶりに約束していたのに、急な残業を頼まれて帰宅が遅くなり、友人との約束を守ることができなかった。そんな経験はありませんか? しかも残業はそれほど重要な内容ではありませんでした。このとき、友人との約束よりも仕事を優先しましたが、「仕事が最優先」という価値観を掲げていたのでしょうか? むしろ「友達とのコミュニケーションを大切にしたい」と常々思っていたかもしれません。日々の行動というのは、はっきりした価値観を持たない限り、その場の雰囲気に流されやすいのです。

本当にやりたいと思っていることがあるのに、できない。どうしたらこの矛盾から抜け出せるのでしょうか? それには、自分の中にある価値観をはっきりと認識し、日々の行動につなげていくしかありません。 

どの様な価値観を大切にしたいのか、それをどのような行動で示すのか自覚していれば、自分自身をコントロールするパワーが生まれ、自分の進路を周囲に惑わされることなく決定していけます。

価値観とは何か?
~どこかに行くのに、地図なしで迷うか、地図を準備して早く着くか

自分の思い描く人生を実現するには、まず「価値観」を明確に描き出すことから始まります。人生を旅に置き換えるならば、価値観は「地図」にあたるものだと考えてもいいでしょう。目的地も航路もわからないパイロットが操縦する飛行機に、あなたは乗りたいと思いますか?

人生だって同じこと。しっかりと目的地や人生の行路を定めなければ、いくら効率的に行動したところで、本来の自分が目指すところに着くことはできません。

例えば、あなたは東京の「日本橋」へ出かけようとしています。手には地図が1枚。日本橋の駅に降り立ち、あなたは地図にマーキングされた目的地へと向かいます。しかし、なかなか到着しません。実はその地図、大阪「日本橋」の地図だったのです。しかし、それに気づかないあなたは考えます。「目的地に着かないのは何がよくないのだろう? よし、まず行動を変えてみよう」そこで、自転車を手に入れ、2倍の早さで目的地を探します。これは有効でしょうか? いいえ、地図が違っていれば、2倍早く動いたところで、2倍早く間違ったところへ着くだけです。

ここであなたは考えます。「それならば、態度を変えてみよう。あせって探すから見逃しているのかもしれない。ゆっくりと楽しみながら歩いてみよう」当然、そんなことをしても本来の目的地には着くはずがありません。地図が間違っているのですから。

自分の人生の目的を実現するために、日々の行動を計画的に、効率良く実行するタイム・マネジメントは有効です。しかし、地図=目的地に着くための基準、よりどころが明確に存在して初めてタイム・マネジメントは効果を発揮するものなのです。

価値観は作るものではなく、発見するもの
~今までも価値観の中で、いろんな判断をしてきた

「価値観」を発見するために、なにも特別な経験をする必要はありません。「価値観」を発見し、それに沿って生きていく力を育てていくのは、日々の平凡な生活の中にあるのです。しかし、突然「あなたの人生の価値観は何ですか?」と質問されても、すぐ答えることはできないかもしれません。「価値観」は、日々感じることの中から、時間をかけて自分と向き合いながら発見していくものなのです。

また、あなたはこれまでの人生で、様々な大きな判断(学校・学部に入る、クラブ活動を選ぶ、会社に入る、結婚相手を選ぶなど)をしてきたと思いますが、その判断基準こそがあなたの価値観を最もよく表したものだとも言えるでしょう。

ここで、あなたの「価値観」を発見する上で、役に立つと考えられるいくつかの質問をすることにしましょう。

次の質問に答えてみてください。その答えを選んだ理由も考えておきましょう。

どうでしょうか? いろいろと思い浮かぶことがあると思います。人生の設計図作りのポイント、つまり自分の「価値観」の発見は、過去の選択を紐解くことで、見えてくるのです。

  • あなたはなぜ今の会社(学校)に入りましたか?
  • あなたはなぜ今の趣味を始めたのですか?
  • 結婚相手のどこが一番よかったですか?
  • あなたはなぜこの場所に住んでいるのですか?
  • これまでに会った人で、ぜひもう一度会いたいと思う人は?
  • あなたが一番好きな言葉は?
  • あなたがこれまでに読んだ一番好きな本は?
  • これまでの仕事で一番充実していたことは?
    • いつ?
    • どんな仕事?
    • なぜ?
  • 家族との思い出で一番楽しかったことは?
    • いつ?
    • どんな内容?
    • なぜ?
  • 友人とのイベントや活動で、一番充実していたことは?
    • いつ?
    • どんな内容?
    • なぜ?