時間管理というと、スケジュール表とプロジェクトの進捗状況、あるいは目標の進捗状況をにらみながら、自分の行動計画を立てるというのが、一般的なイメージであり、実際の活動ではないでしょうか。
しかし、このプランニングの手法は、大きな落とし穴があります。それは、「仕事とは一人で行うものではなく、タスクやスケジュールの調整は自分一人では完結しない」ということです。
仕事上のパートナーやクライアント、他部門の協力者など、実際の仕事において、自分だけで行えることなどほとんどありません。
あらかじめ、スケジュールが確保されたうえでのミーティングや指示であれば何も問題はありませんが、仕事は順調に進むものばかりではなく、むしろ進まないことの方が多く、毎日の計画(タスクやスケジュールの計画などの時間管理)を行う際には、順調ではない仕事の調整事項を行うことのほうが多くなります。
ですから、計画を立てる際には、すべての事柄に対して関与者の仕事の状況、スキル、感情面などあらゆることを考慮して計画を立てる必要があり、ひとつひとつ対処していかなければなりません。
仕事上のトラブルの多くは、人間関係の偏りによって起きます。ある一定メンバーとのコミュニケーションしかとっていないことが原因になることがほとんどです。
どうしても、仕事をしていくうえでは、偏ったコミュニケーションになりがちです。とはいえ、すべての利害関係者に承諾を得ながら仕事をしていくことも不可能です。
また、こうした管理を問題が起きるたびに対処していくと、非常に大きなストレスとなってしまいます。
そこで重要になるのが、コミュニケーションを重視したタイム・マネジメントということになります。
フランクリン・プランナーでは、「一週間コンパス」を使って役割ごとの目標設定を推奨していますが、このやり方を毎日の計画にも活用します。つまり、一週間のビジネスに関する役割を全うするにあたって立てた目標を、毎日の活動に振り分けます。
たとえば、「部長」に対して「イベントの企画を提案する」という、一週間の目標を立てているのであれば、毎日の計画においては、さらに細分化された役割とタスクが必要になります。そこには、部長だけではなく、関係者との事前調整や事前の連絡、あるいはサポートが必要なこともあるでしょう。
人間関係のトラブルの多くは、「報告の忘れや事前連絡の忘れ」が原因です。
いわゆる「聞いてません」というセリフです。
こうしたことを防ぐためにも、タスク欄を使って、今日関与しなければならない「人」を列挙し、その人に対するタスクを計画します。
あくまで今日の計画ですから、相手の予定もあるため強引な計画は逆効果です。対象者に対して、「アポイントをとる」「事前の相談」「アシスタントへの連絡」など、今日行うべきタスクとして計画していきます。
これまでであれば、「企画書を仕上げる」「会場を手配する」などの自分のタスクとして計画していたものも、すべて他者に対する責任として計画することで、人間関係における責任として明確にしていきます。
最後に、自分自身の成長という観点から、できることを計画します。「7つの習慣」で「刃を研ぐ」ことを推奨しているように、自分の能力を高めない限り、出す成果のクオリティを上げることはできないからです。