多忙な人ほど、フランクリン・プランナーのような「重要事項の実行ツール」は役に立つものですが、たまに、「超多忙になると、プランナーをつける時間がなくなる」と言う人がいます。
忙しすぎて、手帳と向き合う時間がなくなる、手帳で計画する時間があったらひとつでも業務をこなしたい、といった状況なのでしょうが、多忙をマネジメントするために使っているのに、超多忙になると使わないというのはなんとも皮肉な話です。
コヴィー博士が『7つの習慣』の中で語っているように、「車を運転するのに忙しくてガソリンを入れる時間がない」という状況に似ています。
これでは、仕事がすべて終わる頃には「ガス欠状態」、つまり燃え尽きてしまい、立ち直るのに何倍もの時間がかかってしまうといったことにもなりかねません。
こうした状況にならないためにも、「計画」する時間をきちんととることです。緊急時間に対処するだけではなく、本当にすべきことを確実に行うためにも、「重要」の観点からタスクの優先事項を決め、やることを決めると同時に、「やらないこと」を決めなければなりません。
超多忙な人なら、「やるべきこと」を見つけるのは簡単でしょう。しかし、「やらないこと」を見つけるのは大変なことです。
超多忙な人は、基本的に仕事の出来る人です。できるからこそ多くの人から仕事の依頼がくるわけです。だからタスクのほとんどは、他人からの依頼であり、断るのも難しくなります。
何かを今日やらない(時間を使わない)と決めるときの選択肢は、
の4つの中から選択することになります。
3は、一度引き受けたものを断るわけですから、依頼者との人間関係にヒビが入るでしょうし、4を選択する場合も、依頼者からの許可を得てやることになりますが、これも約束事の契約を破ることになってしまいます。
小さなタスクであれば、1か2を選択することになることが多くなりますが、現実的には、単純にこのうちどれかひとつを選択して終わることは少なく、ひとつのタスクの中でも、この4つを組み合わせて実施することになります。
この組み合わせを考えること、そこが計画ということになるのですが、1~4を正確に判断するために、そのタスクに少しの時間とりかかり、どのような組み合わせの選択肢ができるかを決めることが必要になります。
たとえば、「ある報告書をつくる」というタスクがあったときに、「このグラフの部分は誰々に頼もう」「ここの資料は作れないことを連絡する」「この部分は、こういう処理で納得してもらう」「この作業は明日にする」といったタスクを分解し組み立てをすることで、「やらないこと」を決めることが重要となります。
「やらないこと」を効果的に決めること、タイム・マネジメント上級者の必須テクニックです。