想定された用途とは、全然違う使い方をしているかもしれません(笑)。
今、下の娘が小学校3年生、上の息子が中学生なのですが、毎週家族会議をやっています。だいたい日曜の夜に、できないときは月曜の夜にやっています。そこで、最初に、自分たちでそれぞれ一週間コンパスを書きます。たとえば、自己成長の欄には、子どもたちが「きれる前に相談する」、「歯医者に行くのを頑張る」、「体調を良くする」「カバンの中のものを必ず出す」と書いています。家族に対する役割は、「良い返事をする」、「ヒロトの作った大根で料理をする」などと書いています。
その反省は「週の振り返り・メモ」に書きます。「きれる前に相談する」という自己成長に対しては、「きれなかった」という答えになりました。「カバンの中のものを必ず出す」は「出せました」。「歯医者に行くのを頑張る」は「頑張れた。感想、痛かった」などというように振り返ります。
家族の一つの目標は、全員で考えて「みんながこれでいいなと思うことを探したい」などと書きます。
兄妹がぶつかって喧嘩になってしまうことがあるので、どうすればいいのかを考えて、「お互いがいいと思うところを見つける」となったのです。
すごいですよね。子どもたちが自分で導き出して書くんです。
私が子どもたちに伝えることは、「どうすればいいの?」「みんながこれでいいなと思うことを探せばいいと思うな」「いいじゃん、それやって」。こんな感じです。
「みんながこれでいいなと思うことを探したい」の反省はこうです。子供たちは「ハナ、OK」。「ヒロト、もう少し頑張る」。私は「ママ、いつもそれを考えている」。可愛いなって思います(笑)。
「週の予定」ではそれぞれの予定を確認して、「ファミリー・プランナー」を全員で確認しながら、子どもたちは自分自身の手帳に自分の予定を書き込みます。そんなことを毎週のようにやっています。
15分~30分、長い時は1時間かけます。これをやらないと子どもたちがスケジューリングできないので、手帳を出して、「早く早く」みたいな感じです。
これがあるからコミュニケーションもしっかり取れますし、予定から、「今週はこういうことを考えて過ごす」ということもわかります。
また、冷静な状態でトピックスを話し合うことが大切です。
イライラしているときには何を言ってもだめなんです。イライラしたら、まず一次停止ボタン。イライラしていないときにちゃんと話す。そうすると、みんなが納得できるような良い答えが出てきます。
一度立ち止まって考えることはとても大事なことだと思います。何もしないと、学校のことを家に引きずって帰ってきたり、家のことを外に引きずって持っていってしまったりしますから、家の中でオンとオフの切り替えができれば、きっと外でもやっていけると思いました。そのために家の中でちょっと考えてもらおうと。
手帳を使うことで、子どもたちの思考がどんどん深くなっていく気がします。「いちいち口を挟まない」というのが「もう一度考える」になったり、「できなかったらできなかったで、もう一回考える」が「時間を大切に使う」になったりと進歩していきます。
手帳は、「自分の人生の手綱を自分で握るためのツール」だと思うんです。そうじゃないと人に握られてしまいます。自分でスケジュール管理ができないと、人のスケジュールに振り回されてしまいます。だから、手帳でそれぞれが管理するのがいいと思っています。
手帳を書くことで、「どこに向かっているんだろう、僕たちは」ということが明確になります。振り回されないで済むというか。この手帳に記入しだしてからです。みんな、めきめきといろいろなことができるようになってきました。
ファミリー・プランナーは手帳というか「母」なんです。ここから自分たちに分かれていく感じです。それぞれが子ども用の手帳を持っています。日付だけが書いてあるようなものです。自分でシールや付箋を貼ったり、メモを書いたり、自分たちでやりたいことをやっています。
ファミリー・プランナーのスケジュールのところは、私が自分と子どもたちの予定を書きます。一週間コンパスだけがみんなの共有ページです。一週間コンパスを書くときは、奪い合いです。子どもたちが自分で書きたいから、「書かせろ、書かせろ」って感じです。
それはありますね。家族って、最初に与えられた、一番小さな社会だと思います。子どもたちにとっても、とてもいいことだと思います。「7つの習慣 ファミリー・プランナー」を使い始めてまだ少ししかたっていませんが、ひいき目で見ているのを差し引いてもすごいです。びっくりするようなことを言っています。
最初にすごいと思ったのは妹のほうです。下の娘が小学校2年生になった頃のことです。学校から震えながら帰ってきたことがありました。友だちに手を踏まれて、「本当はすごく怒りたかったのだけど、わざとじゃないことがわかったから我慢している、今も我慢している」、ということでした。
「わざとじゃないことがわかったから、怒らなかったんだね」と言うと、「怒らなかった」と泣きながら言うんです。「一次停止ボタンが押せたんだね」と言ったら、火がついたように泣き出しました。「すごいな、一次停止ボタンの押し方がわかっているんだ」と思いました。
かつては、私自身、「やられたらやり返せ」くらいのことを言っていたのですが(笑)、やられたら1回止まって、どうするのかを考える。それでもやり返すとなれば、「じゃあやれば」となりますし、「なんでやり返すのかわからない状態でやり返しちゃだめよ」と言っています。
娘が震えるくらい我慢して帰ってきたことが、私の中で、お話と実践が落とし込めた第一歩目です。「こういうことか」、と思いました。それが最初に「はまってきた」と思ったエピソードですね。
「良い勉強したね」と言うと、子どもも「よかった」と言っていました。
言葉ではわからなくても、感覚としてわかっているんですね。
その後、子どもたちは転がるように変わっていきました。手帳を見ればわかると思います。子どもたちはすごいことを書いていますから。
今週はとうとう論語が出てきました。自己成長について考えていたときでした。「いつもより早く起きる」とか、「自分で決めないでいろいろ聞こう」とか。私は、これは毎週のように書いているのですが、「お酒を飲まない日をつくる」と書きました(笑)。
そして家族に対する役割を考えていたとき、娘が「子曰く」と言い出しました。「いいね!『其れ恕か』にしよう」ということで、「己の欲せざる所は人に施す勿れ」を今週の目標にすることになりました。来週、振り返りで反省をします。
私は子ども食堂を運営しているのですが、ご飯を食べ終わった後にみんなで勉強する会を開いていて、寺子屋として大学生に来てもらっています。そこで、1日1論語、大学生が解説してくれます。その第1回目で習ってきたのを、娘がぽろっと言ったんです。1回しか聞いていなかったのに、暗記していたんですね。
それについて考えようとなったときに、「とうとうここに辿り着いたか」と思いました。
2〜3ヶ月、いろんなことについてディスカッションを重ねに重ねて、答えとしてこれが出てきたという感じです。
子どもたちから学ぶことは多いですね。家族会議をやって、本当にいろんなことを教えてもらえます。
こんなことを考えているのかと、びっくりしたことがありました。
息子のメモに、「手帳は、予定を書くだけではない。定期的に見て挑戦するから“てちょう”」ってあったんです。
これは本当に大名言でした。
あと面白いのが、娘の手のひらに書いてあるんです。「一次停止、困ったとき」って。
これを習ったときにふと見たら、手に書いていたんです。可愛いですよね。
可愛いと言えば、こんなこともありました。今週の家族に対する役割を、私が「子離れ」にしたことがありました。そうしたら、娘に「子離れしたくない。はなより」と書かれてしまいました(笑)。すごく可愛かったです。だから私の反省には、「子離れしたくないと言われたから、しなかった」と書きました。
本当にそうですね。この手帳があるからこそ、お互いのことを考えるようです。上の子どもが「おまえ、今日の予定あれだっけ? じゃあ、俺が早く帰ろうかな」とか、「この日とこの日が空いているから、この日に何かしたいな」と言ってきたりします。そう考えてみれば、みんな主体的ですね。よく考えていると思います。
あるとき、「言われたことを何ですぐにできないのか考えなさい」と下の子どもに言ったことがありました。後回しにして、「えー」という感じになってしまうので、なんですぐにできないのか一週間考えることにしたんです。後で本人に聞くと、「言われたことよりもやりたいことが先にあったから、そっちをやりたかった」ということでした。それで、「そうなんだ。やりたいことが先にあるんだったら、どこから始めたらいいのか考えようね」と言って終わりました。
その何週間か後、「お風呂に入りなさいと言われたら、入りなさい」と言ったことがありました。すると、そのときは入れました。「どうして今回はお母さんの言うことを聞けたのか」と聞いてみたら、「次の日のことを考えたから」「明日はこうで、こういうやりたいことがあるから、今、6時に入っちゃおうってなったんだ」と答えたんです。
なるほど素晴らしいと思いました。先を考えて、今何をすればいいのか、なんと返事をすればいいのか、自分の中で考えたんだと思います。1ヶ月くらいかかりましたが、あのときの答えが、今出てきたと感じました。
だから繋がるんですよね。あのとき、「そういえばこんなこと言っていたな」って探すことができる。手帳で振り返りができるんです。
「やりたいことがあったからって言っていたけど、やりたいことってなんだろうって考えたら、返事ができたね」と言うと、「うん」と答えてくれました。